患者様へのお知らせ

2014年3月1日から2018年4月30日までに、当院においてインプラント治療を受けられた方およびそのご家族の方へ

―「人工知能を用いたインプラント体埋入の術前誤差予測と
サージカルガイドプレート自動設計のための予備的検討」へご協力のお願い―

研究機関名 医療法人社団 しみず歯科
研究責任者 院長  清水浩明

1) 研究の背景および目的

口腔インプラント治療は予知性の高い治療として広く普及していますが、長期的に安定した審美性、機能性を維持するためには手術前に撮影したCTのデータをもとに計画した位置へ正確にインプラント体を埋入することが求められています。現在、計画した位置にインプラント体を正確に埋入する方法として、サージカルガイド(インプラント体を埋める位置・方向などを規定したプレート)を用いた埋入手術が広く普及しています。これまでにサージカルガイドを用いた埋入は従来のフリーハンドでの埋入よりも精度高くインプラント体埋入が可能であることが明らかとなっていますが、稀にいくつかの要因が重なることで計画した位置と実際の埋入位置に大きなずれが生じるケースがあります。

私達はこれまでにサージカルガイドを用いた埋入手術の埋入精度に影響を及ぼす因子の検討(ガイドサージェリーを用いたインプラント体の埋入精度に影響を与える因子に関する臨床評価:研1806-031)を行ってきましたが、埋入精度に影響するリスク因子を加味しながらインプラント体埋入位置の術前計画ならびにサージカルガイドの設計に反映していくことは、経験の浅い歯科医師には容易ではありません。そこで、すでに他の医療分野でも活用されている人工知能(AI)技術を応用し、①計画したインプラント体ごとに発生しうる埋入位置の誤差と、②埋入精度に影響するリスク因子を術前に算出可能で、さらには③精度が最も期待できるサージカルガイドの自動設計が可能な「シミュレーション診断・サージカルガイド自動設計AIシステム」の構築を目指すことにしました。

この研究では「シミュレーション診断・サージカルガイド自動設計AIシステム」の構築に向けての予備的研究として、患者さんや治療に関する基礎情報と埋入精度に関する既存のデータを使用して、AIによりインプラント体埋入の誤差予測を行い、その診断精度を評価すること、AIの画像認識を活用した埋入誤差を最小化するサージカルガイド自動設計システムを構築することを目的としました。

2) 研究対象者

医療法人社団しみず歯科において,2014年3月1日~2018年4月30日までに歯牙欠損に対してシングルCTスキャン法,ダブルCTスキャン法,改良型シングルCTスキャン法のいずれかで作製したサージカルガイドを用いてインプラント体を埋入した全ての患者さん

3) 研究期間

研究機関の長の許可日~2027年3月31日
情報の利用または提供開始予定日:研究機関の長の許可日から1週間後

4) 研究方法

患者さんや治療に関する基礎情報と埋入精度に関する情報の一部をプログラムにインポートします。次に患者さんや治療に関する基礎情報から埋入精度を予測する機械学習アルゴリズムを検討します。そして、患者さんや治療に関する基礎情報と埋入精度に関する情報の残りのデータを検証用に用います。具体的には、検討した機械学習アルゴリズムを用いて、基礎情報から症例ごとにAIによる埋入誤差の予測値を算出し、その予測値と従来のシミュレーションソフト上での計測から得られる埋入位置の誤差との一致度、相関係数を用いて診断精度を検証します。

さらに、三次元画像データセット(患者さんの術前のCT画像、術前の口腔内形状データ、シミュレーション上で設計したサージカルガイドの画像データ)をプログラムにインポートし、AIに深層学習させることで得た学習データからサージカルガイドを自動設計するためのシステムを構築します。そして、口腔インプラント専門医が行ったサージカルガイド設計と構築した自動設計システムを用いた設計との差異を比較、検討します。

5) 使用する情報

この研究に使用する情報として、以下の情報を使用させていただきますが、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し使用します。また、あなたの情報などが漏洩しないようプライバシーの保護には細心の注意を払います。

  • 年齢、性別
  • サージカルガイドの情報(作製方法、用いたピンやスリーブの情報)
  • 口腔の情報(歯数、金属製の被せ物の有無、歯の欠損形態)
  • インプラント体の情報(埋入本数、インプラント体の種類、埋入部位、インプラント体の長径・幅径)
  • インプラント埋入部位の情報(歯を抜いた直後の埋入の有無、骨移植部への埋入の有無、骨の傾斜度、骨質)
  • 術前後のインプラント体の埋入位置の誤差の数値(従来のシミュレーションソフト上での計測から得られる値)
  • 手術前後のCT画像
  • 術前の口腔内形状データ
  • サージカルガイドの形状データ
6) 外部への試料・情報の提供・共同利用の方法

この研究に使用する情報は、しみず歯科から以下の共同研究機関に提供させていただきます。提供の際、氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できる情報は削除し、提供させていただきます。

岡山大学病院 歯科・口腔インプラント科部門
熊本大学 大学院先端科学研究部

7) 試料・情報の保存

この研究に使用した情報は、研究の中止または研究終了後5年間、岡山大学病院歯科口腔インプラント科部門内で保存させていただきます。電子情報の場合はパスワード等で制御されたコンピューターに保存し、その他の情報は施錠可能な保管庫に保存します。

共同利用を行う熊本大学においては、研究の中止または研究終了後、情報を廃棄します。

8) 研究資金と利益相反

この研究は、研究代表者が所属する診療科の運営費交付金を用いて実施します。この研究に関して利害関係が想定される企業等で研究責任者や分担者あるいはその家族が活動して収入を得ているようなことはありません。 私たちはこの研究によって特許を得る可能性があります。ただし、その権利は岡山大学および共同研究機関に帰属します。研究対象者の方には帰属しません。

9)研究計画書および個人情報の開示

あなたのご希望があれば、個人情報の保護や研究の独創性の確保に支障がない範囲内で、この研究計画の資料等を閲覧または入手することができますので、お申し出ください。

また、この研究における個人情報の開示は、あなたが希望される場合にのみ行います。あなたの同意により、ご家族等(父母(親権者)、配偶者、成人の子又は兄弟姉妹等、後見人、保佐人)を交えてお知らせすることもできます。内容についておわかりになりにくい点がありましたら、遠慮なく担当者にお尋ねください。

この研究は氏名、生年月日などのあなたを直ちに特定できるデータをわからない形にして、学会や論文で発表しますので、ご了解ください。

この研究にご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせください。また、あなたの情報が研究に使用されることについて、あなたもしくは代理人の方(ご家族の方等も拒否を申し出ることが出来る場合があります。詳細については下記の連絡先にお問い合わせください。)にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申し出ください。ただし、すでにデータが解析され、個人を特定できない場合は情報を削除できない場合がありますので、ご了承ください。この場合も診療など病院サービスにおいて患者さんに不利益が生じることはありません。

<問い合わせ・研究への利用を拒否する場合の連絡先>

医療法人社団しみず歯科
氏名:清水浩明
連絡先電話番号:078-531-8211(月・火・水・金:9時15分~13時00分、15時15分〜19時00分、土:9時15分~13時00分、14時00分〜17時00分)

岡山大学病院 新医療研究開発センター
氏名: 黒﨑陽子
連絡先電話番号: 086-235-6682 (平日9時〜17時)

<研究組織>

主管機関名  岡山大学
研究代表者  岡山大学歯科・口腔インプラント科部門  窪木 拓男

共同研究機関
大阪歯科大学 欠損歯列補綴咬合学 前川賢治
兵庫医科大学 歯科口腔外科学 岸本裕充
熊本大学 大学院先端科学研究部 諸岡健一
医療法人社団 しみず歯科 清水浩明

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